東京電力のオール電化向け「スマートライフプラン」の落とし穴と電化上手との比較

電気代
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2016年4月の電力小売全面自由化を目の前にして、参入各社の新しい料金プランが発表となっているのはご存知の通りです。我が家では東京電力のオール電化住宅向けの電気プラン「電化上手」を利用しています。

先日東京電力から「電化上手」にご加入のお客様へと銘打ったダイレクトメールが届きました。

東京電力には電化上手を利用している顧客から新しいオール電化住宅向けの料金プラン「スマートライフプラン」との比較の問い合わせが数多く寄せられているようで、DMにはその数々の疑問点、東京電力の回答に関するチラシが封入されていました。

どちらのプランがお得になるのか、チラシからは窺い知れない内容も併せてチェックしてみましょう。

ご紹介しているスマートライフプランの新規受付は2017年10月末で停止となりました。これに変わり新しいオール電化向けプラン「スマートライフS/L」の取扱がはじまりました。新しいプランの概要はこちらの記事でご覧ください。

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スマートライフプランの概要

まずは新旧のオール電化住宅向けの電化上手の料金体系を比較してみます(2017年1月現在)。

電化上手

(出典:東京電力エナジーパートナー「電化上手」

スマートライフプラン

(出典:東京電力エナジーパートナー「スマートライフプラン」)

新しい料金プラン「スマートライフプラン」の主な変更点は東電のHPによれば

時間帯を2つに区分し、午前1時から午前6時までの時間帯の料金を割安に設定しました。従来の「電化上手」に比べて時間帯の設定をシンプルにしたプランです。

とあります。

夜間の割安な電気料金の時間帯が、これまでの「電化上手」と比較し3時間も短くなり、さらに料金単価も5.21円上昇しています。

一方で昼間の時間帯については、これまでの朝晩・昼間の区別が無くなり、料金単価は最大で13.39円値下がりしています。

新プラン利用の場合、日常生活への影響は?

夜間料金の値上がりは勿論ですが、時間帯が短くなることによって、電化製品もよく考えて利用しないと、思わぬ電気代の請求ににビックリというケースが発生する可能性もあります。

朝食の準備時間

これまでの電化上手の場合には朝7時まで夜間の割安な料金で利用できましたが、新プランでは朝6時から昼間の料金になります。これにより一番影響が出るのはやはり朝食の準備でしょうか。

食事の準備で使う電化製品には炊飯器や電子レンジなどがありますが、電気料金に大きく影響しそうなのはIHクッキングヒーターです。

IHの最大消費電力は5.8kW、電子レンジの最大消費電力が1.4kW程度なので、いかにIHの消費電力が多いかお分かりになるかと思います。

キッチン廻りで使用する電化製品は消費電力が大きいものが結構あります。

  • IH調理器 1400-5800W
  • 電子レンジ 1000-1400W
  • オーブントースター1200-1400W
  • 炊飯器 350W-1300W
  • 電気ポット 700-1000W
  • コーヒーメーカー 450W-650W
  • 食器洗浄機 11200-1300W

 

これまで6時から7時までの間にに朝食の準備をされていた家庭では、このスマートプランになると割高な昼間の料金で調理せざるを得なくなります。

本来ならば炊飯器や洗濯機などタイマーをうまく利用して、6時前の安い電気料金の時間帯に済ませてしまいたいところですが、実は基本料金に関する落とし穴もありますので注意も必要です。この基本料金については最後で検討してみます。

エコキュートは沸き上げ時間を変える方法も検討してみる

さらにエコキュートの沸き上げ時間も気になるところです。

我が家のエコキュートはサンデン社製ですが、沸き上げの終了時刻は消費電力からみると午前7時となっています。

新プランでは夜間の時間は6時で終了しますので、設定の変更が必要となるのですが、マニュアルを見た限りこの設定変更に関する機能はありませんでした。

料金単価の上がる6~7時に沸き上げの時間が重なる可能性があります(最新のエコキュートでは、ピークカット機能が付いたものもありますので、必ずメーカー・機種の仕様を確認することをお勧めします)。

我が家のようにピークカット機能がないエコキュートの場合、時間を12時間ほどずらして、スマートライフプランの有利な昼間の時間帯にお湯を沸き上げるのも一つの方法です。

冬の深夜、寒い時間帯に沸き上げるより、日中の暖かい時間帯のほうが、ヒートポンプの効率が良くなりますし、さらに沸き上げからお湯を多く使用する入浴までの時間も短くなるので、保温に掛る電気代も節約できます。

スマートライフプランに変更した場合の損得

電力小売り自由化に伴い、様々な比較サイトができました。しかしシミュレーションできる内容があまりにもアバウト過ぎて、本当に内容が正しいのかよく分かりませんでした。

現在の電気の使い方でどのくらい料金が変わるのか、時間別の消費電力のデータさえあれば簡単に分かります。電気使用量をスマートライフプランの料金体系に換算してシミュレーションしてみました。

2016032804

冬は使用電力の多い夜間の料金単価が安い電化上手の方が、当然のことながら電気代はかなり安くなります。さらに時間別に電気料金の差をグラフ化してみました(スマートライフプランの電気料金-電化上手の電気料金)。

2016032803

昼間の電気料金は安くなりましたが、使用量がそれほど多くないことから、電気代に換算すると、そのメリットは少なくなります。

一方エコキュートが沸き上げを行っている時間帯では、二つの料金プランの差はかなり大きくなります。エコキュートの沸き上げ時間が調整できれば、この差は若干縮小するかと思います。

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夏のエアコンを使用している時期のデータはありませんが、エアコン自体の使用する電力は冬の暖房器具やエコキュートと比較すれば、かなり少なくなります。

この検討結果から、東電からのチラシ通り電化上手を利用し続けるのが一番お得なようです。

基本料金の問題

スマートライフプランの基本料金は契約電力1kWあたり450円となっています。この契約電力は

●ご契約電力は、ご使用いただいた30分ごとの使用電力量により決定します。

●30分ごとの使用電力量のうち、月間で最も大きい値を2倍した値を最大需要電力といい、その月の最大需要電力と前11か月の最大需要電力のうち、いずれか大きい値がご契約電力(kW)となります。そのご契約電力の大きさによって基本料金が決定します。

と説明されています。いわゆるスマート契約という種類の基本料金設定です。

直近の一年間の30分単位の電気使用量を計測し、最大となった使用電力を2倍したものが契約電力となります。一年間を17,520回の30分単位で見たとき、その中で一度でも過去一年の最高値を上回れば、翌月から基本料金は上昇してしまいます。

この基本料金が一年間続いてしまうのが、このスマートライフプランの基本料金の恐ろしいところです。

これに対して電化上手の基本料金は契約容量に応じて定額制になっています。

我が家の場合30分単位の電気消費量は分かりませんが、昨年9月から今現在までの1時間当たりの最大電力を見てみましたが、最大の消費量は5kWhでした。この数値でスマートライフプランの基本料金を算出すると

5×450円=2,250円

となり、現在の電化上手の基本料金2,160円を上回ってしまします。

本来ならば安い電気単価である夜間の時間帯で色々と済ませてしまいたいのですが、その電気使用が重なると基本料金が上昇してしまうというジレンマに陥る可能性もあります。

これを避けるためにはピークカットを行い、さらに夜間の時間帯にうまく電気を使う必要があります。このスマートライフプラン、非常に使いにくい電気料金プランとなっているのは間違いなさそうです。

まとめ

現在電化上手を使っている場合はそのまま使い続けるのが一番というのが結論です。ただしこの「電化上手」も2020年3月以降どうなるかについては、現状分かりません。このままだと恐らく廃止となるでしょう。

近い将来に備えて、電気の使用方法の見直しも検討しておかなければいけませんね。

また電力自由化で新たに参入してきた新電力も併せて検討しておいた方が、2020年になって急に慌てる必要もないかもしれません。

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