電気代

東京電力のオール電化向け新プラン「スマートライフS/L」には要注意、余剰売電でスイッチングすると大損になる可能性も

東京電力エナジーパートナーでは11月から、関東エリアで新しいオール電化向けプラン「スマートライフS」「スマートライフL」を新設しました。

これに伴い、これまでのオール電化プラン「スマートライフプラン」の新規受付は2017年10月31日で停止となっています。

電力料金だけを比較すれば、

  • 午前1時〜午前6時:17.46円
  • 午前6時〜翌日の午前1時:25.33円

と、これまでの「スマートライフプラン」とまったく変わりありません。

唯一変わった点といえば、基本料金の仕組みです。

オール電化住宅のお客様向けプランとして「スマートライフプラン」(実量制)をご提供させていただいておりますが、毎月一定の基本料金で電気を使いたいというお客様の声にお応えし、ブレーカー契約である「スマートライフS」および「スマートライフL」のご提供を開始いたします。

(出典(PDF):スマートライフS/Lのご提供開始およびスマートライフプラン(実量制)受付終了のご案内

要望が多いので新しいオール電化プランを始めるよ、と東京電力は恩着せがましくアナウンスしていますが、安易なスイッチングをすると大損してしまう怖い変更でもあります。中身を検証してみましょう。

実量制から一定額へと基本料金の仕組みが大きく変更

スマートライフプラン、スマートプランLの基本料金は次の設定となります。

基本料金

スマートライフプラン…450円00銭(契約電力1kWhあたり)

スマートライフL…280円80銭(契約電力1kVAあたり)

これだけでは分かりませんので、それぞれ詳しく見ていきます。

スマートライフプラン

これまでのスマートライフプランでは、契約電力はスマート契約という実量制を採用しています。

簡単に言えば、実際に使用された電気使用量に基づき基本料金が決まっていく仕組みです。

具体的には、30分単位で電気使用量を計測、月間で最も大きかった値を2倍したものを最大需要電力として、当月を含む過去12カ月で最大の電力需要量をによって契約電力(kW)が決まる仕組みとなっています。

一年間、17,520回の30分単位で使用電力を測定し、その中で一度でも過去一年の最大電力需要量を上回れば、翌月分から基本料金は上昇してしまいます。

スマートライフS/L

新しくできたスマートライフS/Lでは、分電盤等に取り付けられているブレーカーの容量によって契約の大きさ、すなわち基本料金が決まる仕組みになっています。

つまりスマートライフプランのような実量制でないことから基本料金は一定額となります。

契約の大きさが60A(アンペア)までの場合はスマートライフSが適用され、 7kVA(キロボルトアンペア)以上の場合はスマートライフLでの契約となります。

スマートライフへのスイッチングの損得

我が家の電気使用量がピークとなる1月中旬の午前4時台です。この時間帯、エコキュートと全館床暖房、さらに気温の低さも相まって3年間通して、最大需要電力を記録しています。

入居後約2年半の午前4時台の電気使用量のデータをグラフ化してみました。

毎年この時間帯に最大需要電力量を記録しており、昨年今年共に4.9kWhがピークの電力消費となっています。仮にスマートライフプランを利用していた場合の契約電力は5kW(小数点以下第一位を四捨五入)となります。実量制のスマートライフプランですが、最大需要電力を記録するのが早朝の時間帯となるため、契約電力は意外に変動がないことが分かります。

また現在我が家で利用しているスマートライフプランの前のオール電化プラン「電化上手」の契約電力は10kVAとなっていますので、両プランを比較すると

  • スマートライフプランの場合 5.0×450円=2,250円
  • スマートライフLの場合 10×280.8円=2,808円

となり、スマートライフプランからスマートライフLに契約を変更した場合、月額基本料金が558円も高くなってしまいます。

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毎月一定の基本料金で電気を使いたいという要望に応えて新プランを設定したそうですが、実際のところは東電の都合で新プランに移行したのでは?と穿った見方をしてしまします。

一見すると関係なさそうな太陽光発電(余剰売電)と電気料金の関係

先ほどのシミュレーションは使用電力だけをもとにした結果です。

ところが、電気を買うだけではなく、余剰売電も行っているケースを想定すると、このスイッチングは無謀とも思える結果となります。

余剰売電をしている場合、スマートライフプランをお使いの方はスマートプランに移行しないほうがいいですよ、というのが結論です。

何故なのか、その理由は簡単です。

全量売電と余剰売電の仕組みの違いに起因する電気料金への影響

全量売電と余剰売電では、発電した電気が流れる配線が異なっています。

全量売電

上の図をご覧いただくと分かるように、全量売電の場合、太陽光発電システムで発電した電気は直接電線に流れます。電気の購入販売は全く別ルートを通して行われています。

ただし、余剰売電とは異なり、パワコンの待機電力を賄う必要があり、その電気を定額電灯などの電気プランを使用して支払う必要があります。

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余剰売電

これに対して余剰売電の場合、発電した電気はダイレクトに系統には流れず、購入する電気と共通の分電盤を経由し電線に流れていきます(上図参考)。電気容量を算出するにあたっては、購入する電気容量または太陽光発電で作る電気容量のいずれか大きい方をもとに算出されます。パネル搭載量が少ない場合を除き、太陽光発電システムの電気容量が多くなるはずです。

太陽光発電で発電された電気は、通常1kWあたり10A程度(発電量が多いときは11Aくらい)で流れています。5kWの搭載量であれば60A、10kWのシステムであれば110A(電気料金プランで11kVAなどと記載されます)のアンペア契約をする必要があります。

このアンペア数が足りないと、発電最中にブレーカーが落ちてしまいます。

つまり基本料金が「スマートライフS/L」のようなブレーカー契約となっている場合、アンペア数により基本料金が増えることになります。

さらにパネル搭載量が増えるほど、アンペア契約が大きくなり基本料金も高くなってしまうことで、余剰発電のコストを押し上げる原因にもなります。

これに対して従来の「スマートライフプラン」の場合、

ご契約電力は、ご使用いただいた30分ごとの使用電力量により決定します。

となっており、あくまで使用電力量により基本料金が決まってきます。

パネル搭載量10kWでの基本料金はスマートプランLで月3,088円、10年間で37万にものぼります(契約電力を11kVAとして試算)。

売電単価が低下するなか、シミュレーションを行う際にはこの基本料金部分も忘れずに計上し、損益を計算する必要があります

まとめ

東京電力管内でオール電化住宅の場合、現状では東京電力が提供するオール電化プランを使うよりほかに手段が見当たりません。新電力からも数多くのプランが出ていますが、これを超えるプランは現状では見かけたことがありません。

つまり

  • 「電化上手」→契約変更の必要なし(2016年3月で受付中止、2020年以降プラン継続は不明)
  • 「スマートライフプラン」→ほぼ契約変更の必要なし(2017年10月で受付中止)
  • 「スマートライフプラン」で余剰売電中→契約変更はもっての外
  • 「スマートプランS/L」→2017年11月以降に契約できる最も安いと思われるオール電化プラン

となります。

ただし各御家庭の電気の使い方によっては、異なる結果となる場合もあります。

必ず過去のデータを使って十分にシミュレーションし、検討されることをお勧めします。

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