準防火地域におけるトリプル樹脂サッシとシャッター導入の比較・検討

オプション
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閑古鳥です。

前回記事でオプション一覧表を更新しました。

【一条工務店i-smartオプション一覧表更新】ECO ONE、アーバンルーフの追加とエコキュート型番変更
閑古鳥です。 オプション一覧表を更新しました。この更新で最新verは「オプション一覧表(20170314)」となりました。 今回はこの一覧表を使っていただいたO様より情報を頂き更新...

その際に情報を頂いたO様より、準防火地域の窓についてのお話もお聞きすることが出来ました。すべての方が準防火地域で建築される訳ではないことから、オプション一覧表には盛り込みませんでしたが、建築される方にとっては有効な情報であることから今回別記事としてご紹介させていただきます。

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糸魚川市における大規模火災

新潟・糸魚川で大規模火災 周辺に避難勧告(16/12/22)

昨年末(平成28年12月)に発生した糸魚川の大火災は記憶に新しいところです。負傷者は出ましたが、幸いにして犠牲者はお一人もいらっしゃいませんでした。しかし焼失した面積4万平方メートル、被害建物は144棟にものぼりました。

参考(PDF) 新潟県糸魚川市における大規模火災に係る現地調査報告(国土交通省)

この火災が発生したのは糸魚川駅前の準防火地域に指定されている大町地区でした。本来なら厳しい規制がある準防火地域ですが、既存の古い建物については遡及特例により規定が及ばないことから、延焼の拡大の要因にもなってしまいました。

その大火災の中にあって焼失を免れたお宅を報道でご覧になった方もいらっしゃるかと思います。このお宅は周囲に空き地があったことも幸いしましたが、建築基準法に基づく防火構造、二重サッシや網入りガラスによって建物内に火が入ることを免れていました。

確かに準防火地域においては無指定の地域に比較すると、サッシなどで余分な費用が掛かるデメリットがありますが、今回の火災被害などを考えれば、今自分自身と家族の生命・財産を守るとともに、近隣への延焼を防ぐ意味でも規制が如何に重要か分かります。

準防火地域におけるサッシ

準防火地域への建築を計画されている方はよくご存じかと思いますが、防耐火規制は地域と建物の両面から定められています。

このうち地域による規制は、防火地域準防火地域22条区域その他の地域(無指定地域)に分かれています。

このうち防火地域については最も規制の厳しい地域のため、ここにi-smartのような木造建築を建てるのは、規模から考えても現実的ではなく、建築可能なのは準防火地域からと考えてよさそうです。

準防火地域は防火地域の外側に設定されており、住宅等の建物が密集し火災が起きたときの危険度の高い地域とされています。

準防火地域に建てられる木造建築物(二階建て以下かつ500㎡以下)に対しては

外壁・軒裏 : 延焼のおそれのある部分は防火構造

屋根 :不燃材料でふく

開口部 :延焼のおそれのある部分は防火設備

の規制があります。

サッシについては建築基準法第64条(外壁の開口部の防火戸)で

防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の政令で定める防火設備(その構造が準遮炎性能(建築物の周囲において発生する通常の火災時における火炎を有効に遮るために防火設備に必要とされる性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものに限る。)を設けなければならない

と定められています。

国土交通省が発表している構造方法等の認定に係る帳簿を見ていくとH.R.D.が認定を取得しているサッシは現在次の21種類があります。

*耐火建築物等の外壁防火設備(申請者:H.R.D. SINGAPORE PTE LTD)

認定を受けた構造方法等の名称認定年月日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製片開き窓平成25年3月15日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓平成24年2月14日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製外開き窓平成23年4月13日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓平成22年7月12日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製外開き窓平成22年5月24日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓平成22年3月3日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓平成21年11月27日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓平成21年11月27日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製外開き窓平成21年11月6日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓付き外開き窓平成21年10月23日

*防火地域等の外壁防火設備(申請者:H.R.D. SINGAPORE PTE LTD)

認定を受けた構造方法等の名称認定年月日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製片開き窓平成25年3月13日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓(三枚引違い)平成25年3月13日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製片開き窓平成25年1月28日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓平成25年1月28日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓(二枚引違い)平成25年1月28日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓平成24年2月14日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製引違い窓平成24年2月14日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製外開き窓平成23年4月13日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓付き外開き窓平成22年10月29日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製外開き窓平成22年4月28日
複層ガラス入硬質塩化ビニル樹脂製はめ殺し窓平成22年4月28日

出典:構造方法等の認定に係る帳簿(国土交通省 建築指導課)

名称からはどの型番のサッシが該当するかまでは分かりませんでしたが、いずれのサッシもペアガラス樹脂サッシになっています。

(出典:一条工務店)

こちらの画像は私が検討をしていた2014年当時の一条工務店のHPに掲載されていたものです。これが現在ではトリプル樹脂サッシに変更になっています。

しかし準防火地域でこのトリプルサッシを使用するには、先ほどの国土交通大臣の認定を受けることが必要となるため、技術的な問題で認定が受けられていないのか、はたまた申請中なのかなど詳細は不明ですが、今現在残念ながら準防火地域では採用できません。

断熱性能を表すQ値が0.8W/㎡・Kの高性能なトリプルサッシが標準なのに採用できず、わざわざ高い料金を払ってまで性能の劣る1.72W/㎡・Kのダブルサッシになるんだ、という恨み節が聞こえてきそうです。しかし建築基準法で決められていることからこればかりはどうにもなりません。

解決策になるのか?準防火地域のi-smartでのシャッターの選択

準防火地域であっても、外部に防火シャッターを設置することで、非防火のトリプルサッシをつけることが可能です。

今回頂いたのは準防火使用の窓9種類と手動シャッター4種類の価格情報ですが、情報を頂いたO様ご自身だけではなく、営業さん、設計士さんも驚いていた意外な事がありました。

価格を一覧にして比較してみました。

「5930」サイズの手動シャッターの価格は79,100円と、同じサイズのサッシに比べて4万円ほど違うのに対して、「8671」サイズのシャッターは108,300円とサッシとの価格差はほとんどないのが分かります。

窓が大きくなるにしたがってシャッターと準防火仕様の窓の差額は小さくなっています

ただしこの「8671」の大きさの窓ともなると

かなりの大きさのシャッターを設置することになります。手動シャッターの場合開け閉めを考えると採用にはちょっと躊躇してしまいそうになります。

(3/20追記)幅9尺4枚の「高性能樹脂サッシ用シャッター、電動式」の価格は121,700円になるそうです。情報を頂いたつんでれよっし~♪さんありがとうございます。

最後に

防火シャッターは設置すること自体で防火戸として認められており、火災の際にシャッターが開いていたかいないかは問題にならない規定になっています。

それでも就寝中に近隣で火災が発生した場合のことを考えれば、シャッターが開いていれば防火戸としての役割は果たしてくれないわけですから、毎日の開け閉めまで考えた上で採用を検討した方が良いかと思います。

コメント

  1. つんでれよっし~♪ より:

    閑古鳥さん
    こんにちは我が家は9尺4枚の吐き出し窓、正しくブログに書かれているサイズの窓にシャッターを付けています。
    防火シャッターではなく普通のシャッターだと思いますが流石に親には重いので電動にしました。
    電動はやはり楽チンですね♪
    シャッターは台風の時の安心度が上がる。
    朝明るくないのでゆっくり眠れるww。
    大きな窓なら、より防犯になる。
    等、メリットも有りますので採用して良かったと思っています♪
    (*^ー^)ノ♪

    • 閑古鳥 より:

      つんでれよっし~♪さんこんにちは(^^)
      ブログ凄いペースで更新されていますね!読み逃げでコメントできずに申し訳ありません(^^;
      シャッター採用されているのですね、電動シャッターだと手動に比べてお値段はだいぶ高くつくのでしょうか?
      以前の賃貸が掃き出し窓が電動で、腰窓は手動だったのですが、手動だと小さいシャッターでも開け閉めがかなり面倒でしたので、採用される場合にはやはり電動がお勧めかも知れません。
      シャッターも様々なメリットがありますので、トリプル採用できるなら大いに検討の余地がありそうですね。

  2. つんでれよっし~♪ より:

    閑古鳥さん
    御返事ありがとうございますm(__)m
    トリプル+シャッターなら断熱性も上がりますので検討の価値はあるかと思います。
    我が家の9尺4枚の「高性能樹脂サッシ用シャッター、電動式」は、12万1700円でした。
    確か手動式は6万5000円くらいだったような???
    ブログは今はネタがあるし予約投稿の仕方も覚えたので1日1更新していますが、ネタがキレたら怠け者になります(笑)♪
    (*^ー^)ノ♪

    • 閑古鳥 より:

      つんでれよっし~♪さんこんにちは(^^)
      お~、電動ともなると値段が大幅に高くなりますね。私も9尺の窓でしたら電動一択かと思います。頂いた情報は後日オプション一覧表に追加させていただきますね、いつもありがとうございます。
      ブログも女性目線のDIY記事なので参考になる方がたくさんいらっしゃることかと思いますよ、楽しみにしていますね(^^)

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