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金利上昇リスクを軽減するために理解しておきたい変動金利型住宅ローンの仕組み

閑古鳥です。

このグラフ(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」)は住宅金融支援機構が調査をおこなった住宅ローンの金利タイプ構成比の推移です。低金利の流れを受けて、「変動金利型」住宅ローンの占める割合は全体の49.2%にも上っています。

しかし変動金利を選択した方のうち37%の方は「適用金利や返済額の見直しのルール」について理解しているか不安、理解していないと答えています。

変動金利型の住宅ローンは他のタイプと比べて、金利が低く設定されていることから、借入当初の毎月の返済額も低く抑えられます。業者に勧められるまま、住宅に掛ける予算を増やしたいという理由で、ルールやリスクについてよく理解しないままローンを借りる方も多いのではないかと思われます。

確かに変動金利型の住宅ローンと全期間固定金利型のフラット35を比較した場合、借入金額3000万円で試算すると、当初の年間の総支払額の差は8万円を超えており、変動金利型の住宅ローンは非常に魅力的です(変動0.625%、フラット35、1.12%の場合)。

今回はそんな金利変動型の住宅ローンを検討するにあたって理解しておきたい点、特徴、金利の仕組み、返済に関するルールから、未払利息に代表される金利上昇リスクを軽減する対処方法について考えてみました。

変動金利型住宅ローンって何?

変動金利タイプの住宅ローンには、「変動金利型」と「固定期間選択型」があります。

このうち「変動金利型」は一定期間ごとに金利の見直しが行われる金利タイプです。

変動金利型の返済期間と金利の関係

期間と金利のイメージはこのようになります。

「変動金利型」には金利が変動するがゆえにメリット、デメリットがあります。

メリットとしては

変動金利型のメリット
  • 借入時点では、金利が固定金利に比べて低く設定されているため、月々の返済額が少なく済む
  • 経済情勢の変化で金利が低下すれば、返済額が少なくなる

一方でデメリットには

変動金利型のデメリット
  • 金利が上昇すれば返済額が増加する
  • 借入時点では返済額が決まっていないため、将来の返済計画が立てにくい
  • 金利が大幅に上昇すると「未払利息」が発生するリスクがある

などが挙げられます。

なお「固定金利選択型」の住宅ローンは名前に「固定」と入っていますが、変動金利型の一種となります。

固定期間選択型住宅ローンの返済期間と金利の関係

変動金利をベースに、当初の一定期間の金利だけが固定されるタイプの住宅ローンです。

特にデメリットの部分については、それに対してどのように対処をするのか、借入する前によく考えておくことが大事になります。

この対処法については後ほど見ていきます。

変動金利型住宅ローンの金利はどのように決まっているの?

変動金利型のベースとなる金利は、そもそもどのように決まっているのでしょうか。またなぜこんなに安い金利を設定できるのでしょうか?

短期プライムレートに連動

変動金利型の住宅ローン金利は、短期プライムレートを基準に決められている金融機関が大半です(ソニー銀行のように市場での金利スワップにより毎月基準金利を決定しているところもあります)。

「短期プライムレート(短プラ)」とは銀行が優良企業向けの短期(1年以下)資金の融資に用いられる金利で最優遇貸出金利とも呼ばれます。優良企業とは具体的にどのレベルを指すかと言えば、東証一部に上場するようなレベルの企業のことです。一般の企業が借入する際は、この短プラに金利が上乗せされています。

変動金利型の住宅ローン金利も、これと同様に短プラに金利が上乗せされ決められています。

どのように決まっているのか、まずこちらをご覧ください。

政策金利、短期プライムレート、店頭表示金利、適用金利の説明

変動金利型住宅ローンの店頭表示金利は「短期プライムレート」に連動しています。

この「短期プライムレート」は日銀の政策金利(無担保コール翌日物)に金融機関が一定の金利を上乗せして決まっているのです。つまり変動金利は日銀の政策金利に連動して動いていることになるのです。

政策金利は、景気循環によるお金の需給バランスを調整するために上下させることから、変動金利もこの景気動向に影響を受けて変動しているのです。

ただし金利はこの政策金利の変動だけで動いているわけではなく、他の金融機関の金利の動向も勘案して変更が行われているケースもあります。短プラに連動して金利を上げてみたところ、同じエリアの金融機関が金利を据え置いたままだったので、住宅ローンの申し込みが減ってしまったという事を避けるようにしているわけです。

この辺りの事情も理解しておくと金融機関選びで得することもあります。

以前ご紹介した伊予銀行の段階金利型の住宅ローン金利が低いのは、同じ県内の愛媛銀行が取り扱うフラット35の手数料が格安に設定されているので、その対抗上低くせざるを得ないのが理由だったりするのです。

フラット35や全期間固定型よりもさらに有利な「段階金利型住宅ローン」について

ある意味採算度外視といった競争を繰り広げているわけですが、住宅ローンを使ってもらうことによる派生的な総合取引も金融機関は期待しているわけです。

例えば住宅ローンの返済口座は返済のために給料が指定されることが多く、給与振り込みの口座には公共料金やクレジットカードの引き落としがセットされ、さらに退職後はそのまま年金口座としての利用まで期待できるわけです。

このような総合的なお金の流れを一元化してもらうために、住宅ローンという餌で、お客を釣る意味合いが強いわけです。

住宅ローンも、家を建てる際と同じように、必ず相見積もりをしてみた方が得をするケースもあります。店頭で申し込む場合など、ライバル銀行の金利より安い金利を提示してくる可能性も無きにしも非ずです(属性などの条件次第ではありますが)。

具体例

大分話が外れてしましましたが、ここで三菱東京UFJ銀行の変動金利型住宅ローンで具体的に見ておきましょう(2017年4月現在の金利)。

現在同行の短期プライムレートは1.475%になっています。

この短プラに1%を上乗せした金利が「店頭表示金利」2.475%になっています。さらにそこから1.85%を引き下げた0.625%が変動金利における最優遇の「適用金利」として表示されているのです。

何故このような低い金利を設定できるのか

何で低い金利設定なのかは、銀行のリスクを考えれば簡単に分かることです。

1%の変動金利が2%に上昇したとしても、上昇分の1%は住宅ローンを借りたあなたが負担してくれるので、銀行は全く損をしません。

上昇した分の金利は借り手に負担してもらえればいいのです。つまり金利上昇のリスクは借入れする人が負うことになり、変動霧型の場合、銀行は金利変動リスクを負う必要が全くないのです。

これに対して固定金利は金利が上昇しても、上昇分の金利を銀行が吸収することになる訳で、逆に借り手の私達は金利変動リスク負う必要がないのです。その分金利を少し高くすることで、銀行は金利上昇によるリスクを軽減しているのです。

逆に変動金利型の住宅ローンは貸し手の銀行にとって金利上昇のリスクを負うことがないことから、金利が低く設定されているのです

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変動金利型住宅ローンのルール

変動金利型の住宅ローンは次のようなルールがあります。

  • 借入後の金利見直しは年2回
  • 返済額の見直しは5年単位ごと
  • 返済額の見直しの上限は、直前返済額の1.25倍が上限

それぞれ確認していきましょう。

金利見直しのルール

借入後の金利見直しは年2回行われるのが一般的です。

みずほ銀行の例で確認してみましょう。

お借入後の金利の見直しは年2回、毎年、4月1日・10月1日の短期プライムレート連動長期貸出金利を基準として行います。その場合、短期プライムレート連動長期貸出金利の変更幅と同じだけ引き上げ、または引き下げをいたします。

年2回の見直しは、借入から半年ごとに行われるのではなく、4/1と10/1の短期プライムレートを基準に見直しが行われる点を理解しておきましょう。

新規借入の際に適用される金利については、借入後のルールと異なっています。具体的には

新規お借入時の金利は年2回、3月1日・9月1日の短期プライムレート連動長期貸出金利のみずほ銀行最優遇金利(期間3年超)の水準を基準として、各々4月1日・10月1日からの適用金利を決定します。

となっており、借入後の金利変更時期と同じでない点に、注意が必要ですね。

返済額の見直し期間のルール

変動金利型では適用金利の見直しが行われた場合でも、すぐに返済額が変更されるわけではありません。返済額のうち元金と利息の金額を変動させることで調整が行われます。

なぜなら返済額の見直しが行われるのは5年単位というルールがあるからです。

5年単位といっても、借入日からちょうど5年で見直されるのではなく、「借入後10月1日を5回経過するごとに、新しい適用金利・直前の融資残高・残りの返済回数に基づいて新しい返済額が再計算」される金融機関が大半となっています。

返済額見直し上限のルール

金利が見直されると5年単位で返済額も見直されることは先ほど見てきた通りです。

ただし返済額には「125%ルール」と呼ばれる規定があり、変更後の返済額上昇は、変更前の1.25倍が上限となっているルールです。

金利が急上昇しても、住宅ローンの借り手の生活が簡単に破綻しないように、この返済額の変更には上限が設けられているわけです。

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ルールが存在するがゆえに発生する可能性がある未払利息

未払利息が発生する仕組み

まずは未払利息の発生をイメージしたこちらの図からご覧ください。

変動金利型住宅ローンの未払利息発生の仕組み

先ほどの変動金利型のルールが理解できていれば、未払利息発生の仕組みは簡単に分かるはずです。

変動金利型の住宅ローンを借入して、元金と利息を合わせて毎月10万円を返済していきます。

金利が上昇すると利息の支払い額が多くなり、逆に金利が下がれば利息は少なくなります。しかし5年の間は月の返済額10万円は変わらないことから、元金と利息の額を増やしたり減らしたりしながら調整していきます。

5年目をご覧ください。金利が上昇して10万円になりました。こうなると毎月の返済額10万円はすべて金利の支払いに充てられ、元金の返済は0円となっています。

次に6年目となり、毎月の返済額は上限の1.25倍、すなわち月12.5万円まで増えました。返済額が増えたので、利息の他に僅かですが、元金の支払いも再開されました。

そして7年目、金利はさらに上昇し、返済額12.5万円を超える利息を払わなければいけなくなりました。毎月の返済額は12.5万円と決められているので、7年目ではそれ以上は支払う必要がありません、というか支払いたくても繰り上げ返済をしない限りは払えません。

この12.5万円を超える部分、図の赤色部分が「未払利息」と言われるものです。

この12.5万円を超えた分の未払利息がなくなるわけではなく、8年目以降に元金に組み込まれて返済していくことになるのです。毎月滞りなく返済しているのにも関わらず元金が増えてしまうという、普通では考えられないような現象が起こるわけです。

何故未払利息が発生してしまうかと言えば、変動金利型のルールが存在するからなのです。

未払利息が発生しない住宅ローンも

5年ルールがなく、金利が見直される度に返済額も変わっていけば、返済額は増加しますが、未払利息の発生は防げるのです。

実際ソニー銀行や新生銀行の変動金利型の住宅ローンでは、この125%ルールが存在しないため、返済額の増加は青天井ですが、その代わり未払利息の発生は防げるようになっています。

どちらのタイプが良いのか悪いのか簡単には結論付けられません。

変動金利の金利上昇のリスクとして必ず出てくるこの「未払利息」ですが、これまでに発生したのはバブル崩壊直後の平成3年になります。

当時の変動金利は8.5%、35年間借りると総支払額は借入金額の3倍にも上る金利水準です。その後は金利は下落局面が続いたことから、未払利息は発生していません。

未払利息のシミュレーション

金利0.625%の変動金利型住宅ローンでシミュレーションしてみます。前提条件として借入金額3000万円、借入期間35年、元利均等返済としました。

このローンの金利を次のように、一年ごとに1%ずつ上昇させてみます。

年数金利
1年目0.625%
2年目1.625%
3年目2.625%
4年目3.625%
5年目以降4.625%

また5年ルールがありますので、月の返済額は上限があります。

年数月返済額
当初5年間79,544 円
6年目~10年目99,430 円
11年目~15年目124,287 円
16年目~20年目155,358 円
21年目~25年目194,197 円
26年目以降202,032 円

毎月の返済額と残高を見ていくと

支払回数元金利息返済額元金残高未払利息
36回目17,064円62,480円79,544円28,545,313円0円
37回目0円79,544円79,544円28,545,313円6,686円
61回目0円99,430円99,430円28,545,313円456,508円
121回目0円124,287円124,287円28,545,313円1,066,931円
181回目0円155,358円155,358円28,545,313円179,720円
192回目46,405円108,953円155,358円28,222,554円0円

3年間(36回目)終了時点の元金は28,545,313円になっています。

4年目から金利が3.625%に上昇するので、37回目に支払う利息は86,230円(28,545,313円×3.625%/12か月)になります。

ところが5年ルールがあるために月の支払額は79,544円に抑えられています。その結果差額6,686円が「未払利息」となるのです。

その後も未払利息は増え続け、10年目には100万円を超える額となっています。この間は当たり前ですが、元金が全く減りません。

5年毎に返済額が1.25倍になりますので、その後未払利息は徐々に減りますが、解消するのは16年目の途中からになっています。

未払利息の解消には13年もかかり、その間元金の返済が出来ず、利息だけ支払っている状態、これが未払利息の恐ろしいところなのです。

金利上昇リスク軽減の対処方法

未払利息に限らず、金利上昇リスクをどのように軽減できるのか、事前に検討しておく必要がありそうです。

そもそも利息は何に対して掛かるものでしょうか?

これが分かっていれば金利変動リスクの回避方法も簡単にわかると思います。利息はご存知かと思いますが

(利息)=(ローン残高)×(利率)

で求められます。利率が上昇した場合、当然ですがローン残高が少なければ少ないほど、増加する利息も少なくなってきます。

金利変動リスクを最小限に抑えるためにはローン残高を減らす工夫、減らすための手段を持っていればいいということになります。

金利変動リスクを軽減するための具体的な対処方法をしていくつか挙げておきます。

金利変動リスクを軽減するための対処方法
  1. なるべく低い金利の住宅ローンを選択し、ローン残高を早めに減らす
  2. 借入期間を短く設定することで、ローン残高の減り方を早くする
  3. 元金均等返済を選択して、早めにローン残高を減らす
  4. いつでも繰り上げ返済を行いローン残高を減らせるように、手元資金を準備する

現在の低金利の状況はしばらく継続しそうですから、この金利が低い間にある程度返済が進めば、その後金利が上昇してもリスクは少なくなります。

最後に

現在大手銀行の変動金利型の住宅ローン金利は0.625%(最優遇の場合)、さらには0.5%を切る金利を提示しているネット銀行もあり、低金利のメリットを最大限享受できるタイプの住宅ローンが、金利変動型になります。

変動型住宅ローンは、リスクをよく理解した上で利用すれば、非常に魅力的な住宅ローンであることに間違いありません。

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