住宅ローン金利は変動と固定どちらを選べばいいのか迷っているあなたへ

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閑古鳥です。
住宅ローンを組む際に頭を悩ますものの一つが「金利タイプの選択」ではないでしょうか。
住宅ローンの金利タイプを決めるにあたってその金利がどのようにして決まっているのかを知っておくとローン選びに役に立つことがあります。

住宅ローンの金利タイプ

住宅ローンの金利タイプは大きく「全期間固定型」、「変動型」、「固定期間選択型」の3種類に分けられます。(*金利上限付き変動金利タイプなどこれに当てはまらない金利タイプもあります)
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(出典:住宅金融支援機構「民間住宅ローン利用者の実態調査」より引用)
2015年9,10月に行われた調査によれば全期間固定型の利用者が28.1%、変動型が51.2%、固定期間選択型は20.7%になっています。
グラフを見ると最近の低金利を受けて変動型を利用する方の割合が増加しているのがよく分かります。
現在変動型は0.5%を切る史上最低の金利を設定している金融機関もあり、変動型が選択されるのは無理もない事だと思います。ただし以前の記事でご紹介しましたが変動金利を選択している方の4~5割はそのリスクについての理解が不足しているのが実態です。
閑古鳥です。 家づくりにおいては実に様々な意思決定を短期間で行っていかなければなりません。住宅ローンもそんな中の一つ。 ...

住宅ローン金利は何によって決まるの?

変動金利型と全期間固定型の住宅ローン金利は何に連動しているのかについてご存知でしょうか?

住宅ローンでもその金利は全く別次元のメカニズムによって決まっていることを知っておく必要があります。変動金利型、全期間固定型の住宅ローンで適用される金利の指標となるものはそれぞれ次のようになっています。

変動金利型…無担保コール翌日物
全期間固定型…新発10年物日本国債の利回り

変動金利の決まり方

適用金利、店頭金利

変動金利型の住宅ローンで適用される金利は次のような仕組みで短プライムレートを基準に決められている金融機関が大半です(ソニー銀行のように市場での金利スワップにより毎月基準金利を決定しているところもあります)。

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例として三菱東京UFJ銀行のケースを見てみましょう。

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同行の短期プライムレートは1.475%。これに1%を上乗せした2.475%が店頭表示金利となっています。そしてこの店頭表示金利から審査結果によって最大1.85%引き下げした場合の適用金利が年0.625%となります。

短期プライムレート

先ほどの短期プライムレートとは銀行が優良企業に短期(一年以下)の貸出を行う際に用いられる最優遇貸出金利のことです。

以前は公定歩合に連動していた短期プライムレートですが、金融自由化に伴って「無担保コール翌日物」の金利に連動したものとなり、以前の短プラと区別するため新短期プライムレートとも呼ばれています。

この「無担保コール翌日物」とは金融機関同士が資金の調達・供給を行う期間一日の超短期の無担保取引の金利ことを指します。短期金融市場の中のインターバンク市場、その中の一つであるコール市場(参加者は金融機関のみ)の代表的な取引です。

日本銀行は年8回開催される金融政策決定会合で金融政策運営の基本方針を決めています。ここで決定された方針を実現するために短期金融市場における代表的な取引である「無担保コール翌日物」に影響を及ぼすことにより短期金利の水準を調整しています。

健全な経済発展のためには物価の安定が必要であり、そのためには適切な金利水準の維持が必要となることから、日銀は短期市場で金利水準の調整を行うわけです。

つまり変動金利は日本銀行の政策金利に連動しており、日銀の影響下にある金利であることが分かります。

長期金利の決まり方

新発10年物日本国債の利回り

「全期間固定型」と「10年以上の固定期間選択型」の住宅ローン金利は長期金利をベースにしています。

長期金利の代表的な指標となっているのが、「新発10年物日本国債の利回り」です。

国債は、市場で売買が行われていますので利回りは日々変化しています。

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(出典:日本相互証券株式会社「長期金利推移グラフ」より引用)

この新発10年物国債の価格が上昇(利回りは低下)すれば長期金利は低下し、価格が下落(利回りは上昇)すれば長期金利は上昇します。

国債の売買については景気動向、将来の物価変動や短期金利の推移なども織り込まれて取引が行われています。

短期金利と異なり長期金利は、長期資金の需給のバランスに応じて市場で決まっています

長期固定金利型の代表である「フラット35」の金利も「新発10年物日本国債の利回り」によって左右されています。

こんばんは、閑古鳥です。 以前記事にも書いた一条ローンが取り扱いをしているフラット35(商品名i-flat)について考えてみた...

金利が上昇したら固定金利に切替すればのウソ

よく聞く話ですが、変動金利を選択していても金利が上昇したら固定金利に切り替えれば大丈夫というのがあります。こんなことが可能なのでしょうか?

長期金利は先ほど申し上げた通り。将来の物価変動や短期金利の推移の予想を元に変動しています。近い将来インフレになると市場が予想すれば長期金利は直ちに上昇を始めます。

まだインフレになっていないにもかかわらず長期金利は上昇してしまう点がポイントになります。短期金利が上昇するのはその後になりますから、すでに固定金利は上昇してしまった後になることが多くなります。

現在の金利で考えてみましょう。変動金利は0.5%、固定金利フラット35が1.1%です。仮にフラット35が1.5%に金利上昇した際に、あなたは変動金利の住宅ローンがこれから上昇すると考えて0.5%から1%高い金利に借り換えできますか?

仮に借り換えした場合でも、その時の長期金利の上昇だけが一時的であるケースだって考えられます。そうなると変動金利は0.5%のまま、あなたの住宅ローン金利だけが1.5%になるかもしれません。切替や借り換えの判断は非常に難しいことかと思います。

変動or固定、どちらが得かという議論

これまで見てきた通り変動金利と固定金利は基準になる指標が異なっています。したがって選択に当たって金利の高低や損得の比較を論じるのはあまり意味がない事なのです。

変動か固定の選択においては、自分の家計が金利変動のリスクをどれくらいまで許容できるかで決めるべきなのです。

金利変動のリスクの許容度が金利選択に当たっては重要なのであって、リスクについてはその損得を論じること自体が不毛な議論だからです。

リスクの許容度が高い場合には変動金利を選択することによって、低金利によるメリットを享受できる可能性もあります。逆にリスクを許容度が低ければ、金利変動リスクのない固定金利を選択するべきなのです。

変動金利のリスクを取りにいっても良いケースはおおむね次のような場合になるかと思います。

  1. 借入期間が短い方…借入期間が短ければ短いほど金利変動のリスクは小さく抑えられます。
  2. 借入額が少ない方
  3. 金利上昇時に繰上げ返済により元本を減らすことができる方

金利が急上昇した場合にも対処できる方がリスクの許容度の高い方になります。

最後に

変動金利は貸し手である銀行にとって金利変動リスクない分、低い金利が設定されており借り手にとっても魅力的です。その分借り手側が金利変動リスクを負っていることを十分理解した上で選択するべきです。

株や投資信託など元本割れのリスクのある金融商品に対して極めて否定的な方も多くいます。そんな方がいとも簡単に変動金利型の住宅ローンを選択するケースに遭遇し驚かされることも少なからず経験しました。自分の資産が1円でも目減りするのは嫌なのにもかかわらず、負債の支払いは1円でも少なくしたいという考え方なのでしょうが、あまりにリスクに対して無防備と言わざるを得ません。

本来であれば適合性の原則からこのような方に変動金利の住宅ローンを販売することは控えなければいけないケースもままありますが、最初に申し上げた通りよく理解しないまま契約している方が多いのが現実です。

「金利はこれからも上昇しない」という身勝手な予想により、後々痛い目にあうのは自分自身や家族であることに十分注意して金利タイプを選択するようにしましょう。

このままの低金利が20年、30年と続く保証はどこにもありませんよ。