エコキュートの電気代ってどのくらい?消費電力を計算してみました

閑古鳥です。

電気使用量をコンセント単位で計測することが可能になるHEMSを導入していない我が家では「電気の見える化」が未実現となっています。

電気使用量がもっとも多くなる冬の時期、節電を考える上でどの家電がどれくらいの電気を消費しているのかいまいち分からないのは非常にもどかしいことです。

特に気になるのが一番電気を喰うであろうエコキュート。家電であればワットチェッカーで計測することも出来ますが、エコキュートともなるとどのように計測するのか私には分かりません。

実測が無理なので、今回はエコキュートがどの位の電気を使用してお湯を沸き上げしているのかについて計算で求める方法のご紹介です。

我が家のエコキュート

一条工務店直営では三菱電機または長府製作所のエコキュートが標準となりますが、一条工務店群馬で建てた我が家のエコキュートはサンデン社製です。取引の関係上サンデンの方が三菱より仕切りが低いのでしょうかね、まぁ大人の事情なのかもしれませんが…。

エコキュートは家族6人のため標準の370ℓではなくオプションで460ℓにタンク容量を増やしています。フルオート角形タイプ460ℓです。

参考(PDF) サンデン社製エコキュート EBS-H46QTA3

仕様書から抜粋すると

年間給湯保温効率 3.0

中間期標準加熱能力/消費電力 6.0kW/1.35kW 、(COP(エネルギ ー消費効率)4.4)

外気温(乾球温度/湿球温度)16℃/12℃、水温17℃、沸上げ温度65℃

冬期高温加熱能力/消費電力 6.0kW/2.00kW 、(COP(エネルギ ー消費効率)3.0)

外気温(乾球温度/湿球温度)7℃/6℃、水温9℃、沸上げ温度90℃

COPは三菱社製と同等ですが、年間給湯保温効率(後述)は三菱が3.3程度となっていますので、0.3ほどサンデンの方が低くなっています。

年間給湯保温効率(JIS)

年間給湯保温効率とは、一年を通して、ヒートポンプ給湯機を運転し、台所・洗面・湯はりを行った場合の給湯熱量とふろ保温時の保温熱量をその時の消費電力量で割った効率のことをあらわします。

家庭用ヒートポンプ給湯機の性能表示は、平成23年2月に日本工業規格(JIS C 9220“家庭用ヒートポンプ給湯機”)が制定されたことを受けて従来のものから新しくなっています。

一般社団法人 日本冷凍空調工業会、家庭用ヒートポンプ給湯機のご紹介です。

今回はこの年間給湯保温効率を使ってエコキュートの消費電力を計算してみようと思います。

計算方法

年間給湯保温効率

年間給湯保温効率は次のような式であらわされています。

年間給湯保温効率=1年で使用する給湯と風呂保温に係る熱量÷1年で必要な消費電力量

この式を変形すると

1年で必要な消費電力量=1年で使用する給湯と風呂保温に係る熱量÷年間給湯保温効率

ようになります。

年間給湯保温効率は製品仕様書に記載されており、先ほども触れましたが、サンデン社製エコキュートEBS-H46QTA3はこの年間給湯保温効率が3.0となっています。

先ほどの式に当てはめれば

1年で必要な消費電力量=1年で使用する給湯と風呂保温に係る熱量÷3.0

となります。(三菱社製の年間給湯保温効率が3.3の製品は、上の式で考えると同じ熱量であれば必要な消費電力は1割ほど少なく済みます。)

あとは「1年で使用する給湯と風呂保温に係る熱量」を計算すればエコキュートの消費電力が分かりそうです。

使用する給湯と風呂保温に係る熱量

水1gの温度を1℃上げるために必要な熱量は1cal」です。また

1 kWh = 860.42065 kcal

なので例えば「1㎏(1000g=1ℓ)の水の水温を10℃から90℃まで上昇させるのに必要な熱量(kWh)を計算で求めると

1000g×(90℃-10℃)=80kcal=0.09(=80/860.42065)kWh

となります。たしか中学校の理科で教わった記憶が…。

エコキュートの場合で考えると

必要エネルギー量(kWh)=必要となるタンク内湯量(ℓ)×1(kg/ℓ)×1(kcal/kg℃)×(沸き上がり温度(℃)-給水温度(℃))÷860.42(kcal/kWh)

となります。先ほどの90℃にあたるのが「沸き上がり温度」で10℃に相当するのが「給水温度」となります。

詳しい仕組みにまでは言及しませんが、エコキュートはタンクの容量分のお湯を沸かしている訳ではありません。お湯を使用量に応じた必要となる湯量を求める必要があります。これは

必要となるタンク内湯量=(設定温度-給水温度)÷(タンク内温度+給水温度)×使用湯量

と考えれば計算できます。

つまりエコキュートの沸き上がり温度、設定温度、タンク内の温度、水道水の給水温度そして使用した湯量が分かると消費電力を求めることが出来ます。

冬季と夏季でどのくらいの電力を消費するか

冬の場合

設定条件等は次のようになっています。

  • 沸き上がり温度…90℃
  • 設定温度…43℃
  • タンク内の温度…80℃(お湯を沸き上げるのは深夜から早朝になりますが、風呂の給湯に使用するのは10~12時間後となるため、この時期タンク内で10度程度温度が低下していると仮定して80℃としました)
  • 水道水の給水温度…4℃(前橋の給水温度が不明なので、お隣の埼玉県が発行している「水質年報-埼玉県(PDF)」で確認してみました。前橋と気温の推移が近いと思われる熊谷のとなりの行田浄水場の水温を参考にしています。外気温が0℃近くまで低下するこの時期の水温は4℃前後のようなのでこの値で計算)
  • 使用した湯量…490ℓ(直近1週間の平均使用量です、家族6人にしては少ない方かと思います。)

計算してみます。

①必要タンク内湯量は

(43℃-4℃)÷(80℃+4℃)×490ℓ=227.5ℓ

②一日に必要なエネルギー量は

227.5ℓ×(90℃-4℃)÷860.42=22.7kWh

③一日に必要な消費電力は

22.7kWh÷3=7.5kWh

となりました。

電気代に換算(電化上手の電気単価12.25円)すると月2,800円程度になります。スマートライフプラン(単価17.46円)だと月4,000円となります。

夏の場合

気温が高くなるので設定条件等が変わってきます。

  • 沸き上がり温度…65℃
  • 設定温度…43℃
  • タンク内の温度…60℃(夏は給水温度が高いので、エコキュートのタンク温度も低く設定されています)
  • 水道水の給水温度…21℃
  • 使用した湯量…400ℓ(正確な数値を把握しておりませんので推定です。)

この条件で計算すると

①必要タンク内湯量は

(43℃-21℃)÷(60℃+21℃)×400ℓ=108.6ℓ

②一日に必要なエネルギー量は

108.6ℓ×(60℃-21℃)÷860.42=5.5kWh

③一日に必要な消費電力は

5.5kWh÷3=1.8kWh

となりました。

エコキュートの消費電力は冬の時期には夏のおよそ4倍程度も掛かっている計算になりました。

計算結果の検証

では実際のところ消費電力はどのくらい違っているのかみてみます。直近1週間の数値です。

床暖房はほとんどの日で17時より朝7時まで28℃の通常運転を行っています。

1/2~1/9の時間帯別電気使用量

17時~22時 平均1.5kWh
23時 1.8kWh
0時 1.7kWh
1時 1.8kWh
2時 3.0kWh
3時 3.4kWh
4時 3.4kWh
5時 2.3kWh
6時 2.2kWh

夕方17時~23時までの1時間当たりの平均使用量…1.5kWh

夜間23時~7時までの1時間当たりの平均使用量…2.5kWh

夜間時間帯の電気使用量増加分…1.0kWh×8時間=8kWh

先ほど計算した7.5kWhと近い数値となっていますので、まんざらでもなさそうです。

昼間沸き上げした方が…

昼と夜の沸き上げの消費電力による電気代の違い

先ほどの冬の消費電力ですが、エコキュートの沸き上げが深夜から早朝にかけて行われていることを想定した水温にしています。

冬であっても日中であれば水温は9℃ほどにはなります。この温度で沸き上げを行うと消費電力は5.87kWh(夜中の78%の消費電力)で済みます。

現在の東電のオール電化向け電気料金体系の「スマートライフプラン」で電気代を計算すると意外な結果になります。

夜間沸き上げた場合の電気代…7.5kWh×17.46円=130.95円/日

昼間沸き上げた場合の電気代…5.87kWh×25.33円=146.91円/日

これは昼と夜間の電力単価が7.87円しか変わらない事が要因です。

スマートライフプランとエコキュートの相性

スマートライフプランは夜間の時間帯が5時間に短縮されていることから、比較的寒い地域では、 この夜間の時間帯だけでは沸き上がらず、電気単価の高い時間帯でも沸き上げしている可能性も十分考えられます。その場合には先ほどの計算結果はさらに縮まり、同じくらいの金額になる可能性もあります。

余談ですが5時間の間に集中して沸き上げを終了させるようにすると、基本料金がスマート契約になっている「スマートライフプラン」では最大需要電力の増加により、結果として基本料金が上昇してしまう可能性もあります。

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実は日中の暖かい時間帯にエコキュートを稼働させさえすれば電気代はそれほど変わらないのかもしれません。

さらにエコキュートは夜間の寒い時間帯に稼働させるより、日中の暖かい時間に稼働させた方が、寿命(耐用年数)も延びるようなので、一概に「日中の沸き上げ=ダメ」と結論付けてしまうのはいけないのかもしれません(湯量が足らなくなって日中に沸き上げしてしまうのはNGですが)。

最後に

計算式で見ていただいた通り、エコキュートの節電を考える上では、使用湯量を減らすことが最も手っ取り早い対策となります。お湯の使い方を少なくするか、その設定方法などについてはエコキュートのメーカーによって違ってきますので、今回は触れませんでした。

また「自動保温」や「追い炊き」をするよりも「高温足し湯」の機能を使ったほうが消費電力量は抑えることが出来るのはよく知らていることかと思います。さらにお風呂以外のお湯の使い方を変えるだけでも節電につながることもありますので、一度見直してみたいと思います。

コメント

  1. おーくん より:

    初めまして。いつも楽しく読ませて頂いてます。

    私は東京電力管内にてi-smartで暮らしており、プランはスマートライフプランです。
    深夜料金との差額が少ないのは気になっていたので、昼間に沸きあげを実践しています。
    使用している機種は三菱のSRT-S372Uで、沸きあげ時間をマニュアル設定出来るものになります。
    最大需要電力量を抑えるピークカット機能もあり、あらゆる工夫を行うと最大需要電力量を大きく抑えられるので、昼間沸きあげは料金面、もちろん寿命面でもメリット大だと思います。

    なお、三菱のエコキュートはタンク内は常に満タンですので、沸きあげ時間が変わっても水温は変わりません。(給水される水の温度はお湯を使った時間帯によって変わります)
    昼間沸きあげの最大のメリットは、水温では無くて深夜に比べて外気温が高いことによるCOPの向上かと思います。
    カタログでは冬は外気温7度とか深夜に7度って…と突っ込みたくなります。多分エコキュート普及のために不具合のある情報は伏せたんでは?と勘ぐってしまいます。
    興味ありましたら、我が家での記録(手書きメモなので大したものでは無いですが、水温の変化もある程度記録しています)を共有しますのでメールでも戴けたらと思います。

    いつか誰かが気づいて話題にあがるかな?と思っていたので嬉しくなってしまいました。参考になれば幸いです。

    • 閑古鳥 より:

      おーくんさんはじめまして(^^)
      昼間に沸き上げを行っている方もやはりいらっしゃるのですね!サンデンのエコキュートは沸き上げ時間を設定することが出来ないので、設定時刻ををずらしてしまうことでもしかすると昼間の沸き上げが可能なのかもしれません(やったことはないのですが)。当然ピークカット機能など存在しないので三菱社製のエコキュートは羨ましいです。
      <昼間沸きあげの最大のメリットは、水温では無くて深夜に比べて外気温が高いことによるCOPの向上かと思います。
      仰る通り昼間の沸き上げの方が効率よくお湯を沸かせますので、消費電力を抑えるのには一番ですよね、ただ電化上手では電気単価が3倍ほど違うため電気料金で見ると逆に高くなってしまいます。
      今回COPによる消費電力の算出も考えたのですが、カタログ値に使われている冬のCOP3の数値が深夜早朝の場合どの位になっているのか見当が付きませんでしたので見送りました。もしかして深夜~早朝に沸き上げを行った場合COPは1近くになっているのでしょうか。メーカーの陰謀ですよね、明らかに(^^;
      記事に関心を持っていただき、さらにコメントまで頂戴しありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。データに関して後ほどメールをお送りさせていただきます。